物価が年々上昇し、社員の賃上げや初任給の引き上げが頻繁に経済ニュースとなっている昨今、給与水準の高低は就職活動で企業を選ぶ指標として注目度が高まっています。そこで、北陸3県の上場企業62社について、2026年版の年収ランキングを作成しました。記事の後半では各社の従業員の平均年齢や平均勤続年数も紹介します。(国分紀芳)

※記事の作成に用いたデータは、2026年7月9日時点で公表されている最新の「有価証券報告書」から抽出しました。有価証券報告書は上場企業が決算後に開示する書類です。決算月は企業によって異なるため、企業ごとの基準時点は数カ月ずれることがあります。なお、Genky DrugStores(坂井市)は給与や平均年齢を公表していません。
1位 ほくほくフィナンシャルの990万円
ランキングの対象は有価証券報告書に記載された「本店所在地」が北陸3県にあり、東京証券取引所のプライム市場・スタンダード市場・グロース市場、名古屋証券取引所、札幌証券取引所に上場している企業としました。東証には「TOKYO PRO Market」という市場もありますが、プロ投資家向けで一般的ではないため除外しています。

従業員の平均年間給与ランキングで、ほくほくフィナンシャルグループ(富山市)が1位、CCIグループ(金沢市)が2位となりました。
ほくほくフィナンシャルグループは北陸銀行や北海道銀行の持株会社で、CCIグループは北國銀行をはじめとする子会社13社を統括する企業です。こうした統治形態では各子会社が実際の事業を担っており、上場している企業は企業グループの経営管理に特化しています。そのため、上場企業単体では高い役職の従業員が多くなりやすく、平均給与や平均年齢も高くなりがちな点に注意が必要です。
この点、両社はグループの中核をなす銀行に限ったデータも公表しています。それによると、北陸銀行(従業員数2,267人)の平均年間給与は652万円、北國銀行(同1,376人)の平均年間給与は620万円でした。他の地方銀行(富山第一、福井、富山)と比較する場合は、こちらのデータの方が適切かも知れません。
ランキングに戻ります。3位は三谷商事(福井市)、4位は熊谷組(同)、5位は今村証券(金沢市)と続きました。トップ10には地域有数の大企業が並び、グループ従業員数が1,000人未満なのは5位の今村証券(金沢市)と7位の福井コンピュータホールディングス(福井市)のみです。福井コンピュータホールディングスが持株会社であることを勘案すると、今村証券の給与水準の高さが目立ちます。
さて、このランキング表を見ると、一口に「上場企業」と言っても、給与水準には大きな開きがあることが分かります。上位の企業の年収が800万、900万円台なのに対し、下位には300万円台の企業もありました。
もっとも、北陸3県で働く正社員の平均年収は400万円程度と言われています。労働者全体で考えると、やはり上場企業の給与水準は高めであると言えそうです。
平均年齢30歳の企業も
同じく有価証券報告書に記載のある「従業員の平均年齢」もランキング化しました。最も低かったのはユニフォームネクスト(福井市)で30.8歳でした。多くの企業では平均年齢が40代となっています。

就活生の視点から見れば、平均年齢が低い企業は風通しが良く、成長のエネルギーにあふれていると映ることでしょう。
もちろん、そうした傾向はあるでしょうが、一方で平均年齢が低ければ良いと単純に言い切れないところもあります。たとえば指導役の先輩社員や上司が不足していたり、離職率の高さが平均年齢の低さに現れていたりすることもあるからです。
事業を円滑に継続するため、毎年の採用数を極端に増減させず、各年代のバランスを保とうとしている企業もあります。そういう意味では、平均年齢だけでなく、次に紹介する平均勤続年数も合わせて考えると良いかも知れません。
平均勤続年数が長い順に並べ替えると、次のようになります。

上位の顔ぶれを見ると、1位の津田駒工業(金沢市)に始まり、三協立山(高岡市)、北陸電気工業(富山市)、フクビ化学工業(福井市)といったメーカーが多く目に付きます。技術者は今なお男性比率が高く、特定の技能を極めるという意味でも、同じ企業に長く在籍するケースが多いとみられます。
今の就活生には「終身雇用」という言葉が過去の遺物のように聞こえるかもしれません。確かに、平均勤続年数が長くなる要因は必ずしもポジティブなものばかりではなく、人材の流動性が低く新たな知見を受け入れる風土がなさそう、と否定的に推察することもできます。一方、長く働いている人が多い環境というのは、少なくとも労働環境に大きな問題を抱えている企業ではなさそう、と肯定的な推測も成り立ちます。
平均年間給与ランキングにしても平均年齢ランキングにしても、大切なのは数字の大小だけで何かを判断するのではなく、その背景を考えることです。その企業で働く従業員と実際に話す機会を持てれば、職場のリアルを把握できます。今回ご紹介したランキング・一覧表が、その前段階で気になる企業を絞り込む際に役立ち、就活生それぞれが望む働き方を実現する助けになれば幸いです。
国分紀芳(くにわけきよし)
Seeds合同会社代表社員。1985年、石川県生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、北國新聞社へ入社。経済記者として北陸新幹線開業、ホテルやマンションの開発ラッシュ、大型商業施設の相次ぐ進出などを取材する。2022年2月に独立後は各種ライティングやPRコンサルティングなどを手掛ける。https://connect-u.biz/




